これも20年くらい前話である。
そのころつきあっていた男性は、ひとり暮らしだったが料理が上手だった。
あるとき、手料理をご馳走してあげるというので喜んで出かけた。
わたしも何か一品をと思い、おふくろの味、きんぴらごぼうを丁寧に
作って持参した。
さて、その日は、蟹すきだった。わたしも早速 手製のきんぴらを出そうとしたが・・・・・・・・
そこには すでに きんぴらごぼう が テーブルに出ていた。
それは 見事なできばえで 糸のように細く切られたごぼうと人参。
それにくらべて、わたしのときたら・・・・・・精一杯細く切ったつもりが・・・・
なんとなく太くて 田舎くさいではないか。
彼氏のお母さんは大阪にお住まいで料理がとっても上手。
大阪から送ってくれたのだとの話だった。
自分のきんぴらを 出さなかったことは言うまでもない・・・・・・・
それ以来、すっかり きんぴらは苦手になってしまった。
本を見ながら丁寧に作れば 美味しくはなるけど 面倒になってしまった。
ところが、最近知りあった友人が 「きんぴらのごぼうは皮をむかなくても
いいのよ。水にさらさなくてもいいの。丸たんぼうのように ザックザックと
切ればいいの。そのほうが美味しいのよ」という。
彼女はペンションのオーナーで お料理上手。彼女が言うのだからと思って作ってみたら。
なんと 正解! ごぼうも人参も甘みが出て美味しいこと。
なあんだぁ。発想の転換だ。
本当にらくらく。あっという間に作れて美味しい。
料理って やっぱり頭がやわらかい人の専売特許だと思ったことだった。