今日は、精神科医から⾒た「からだの健康法」について書いてみたいと思います。
ある⼈は90歳を超えても元気で1⼈暮らしをしているかと思えば、ある⼈は70歳を過ぎて歩けなくなったり、認知症が始まったりします。
若いころは皆同じように健康なのに、⼈⽣後半のこの違いって一体何でしょう。そう思いませんか?
私は若いころから、いつもこの疑問を持ちながら診察しているんです。答はまだ見つからないのですが。
もちろん⻑寿法は、今更私が⾔うまでもなく「⾷事と運動」などの⽣活習慣によるところが⼤きいこと、はよく知られています。問題は、そのあり⽅でしょうか。
ジャズダンスにはまっているA⼦さんとB⼦さんは共にからだを動かすことが⼤好き。ところがある時、A子さんもB子さんも無理がたたり膝を痛めてしまいました。
A⼦さんはダンスを諦め、膝に負荷のかからない⽔泳に切り替えることにしました。
B⼦さんはダンスにこだわり続けたのですが⼀向に膝が治らず、⽣きがいを奪われた落胆から、うつ状態になってしまいました。
健康のために始めた運動が、かえって健康の邪魔になったとも⾔えるケースです。
⾷事についても同じで、何かがブームになると、皆がそれに⾶びつく傾向があります。しかし⾷事にしろ、運動にしろ、その⼈に合ったことは顔が違うようにみんな違うのです。
違うだけでなく、その⼈の中でもどんどん変化していくものです。
だから時期や年齢、体調などに合わせて柔軟に変えていかなければならないのが健康法です。
どんなに良いことでも固定化された途端にそれは「健康法」ではなく「病気法」になりかねない、というのが私の持論です。
⾼齢になっても元気で暮らしている⽅々は、事もなげに「好きなものを好きなだけ⾷べています」とか「好きな畑仕事をしているだけ」とおっしゃることがとても多いのですよ。
頑張って運動している⼈より、⾃然体で⽣きている⼈の⽅が健康だなんて⽪⾁なことですが、実はそこに鍵があると私は思います。
そういう⼈が何もしていないわけでは決してないのです。
ここがポイント!
例えば、畑仕事、草むしり、⾞をやめて歩くようにしたなど、⽇頃からよくからだを動かしています。⾃分を⾒つめる習慣が⾝についており、⾃分が快いと思うことを選んでいます。
また、暮らしの中にからだを動かす仕組みを上⼿に取り⼊れているのです。
⾃分を過信せず、からだと相談しながら無理をしないという共通点が見られます。
つまりは健康法に情報はいらないのではないでしょうか。
それは⼈から教えられたり、押しつけられたりするものではなく、それぞれが⼯夫しながら⾒つけるものなのでしょう。
そのためには、まず⾃分の体質を知りましょう。
⾃分の好みを知りましょう。
⾃分のからだの声に⽿を傾けましょう。
そしてからだと相談しながら模索して変えていきましょう。
そうやって⾃分だけの「究極の健康法」を⾒つけ、育てていこうではありませんか。
平凡かもしれないが、そのプロセスを楽しむことが、元気で⻑⽣きできるコツかもしれないと思うのです。