連載コラム(27)忙しさの中で見えたこととは?

 

うつ病など、⼼の不調を来した⽅がよく訴える悩みに「家事ができない」「仕事がはかどらない」などがあります。

「部屋はごちゃごちゃ、⾐類の整理ができない」「料理のメニューが浮かばない」などです。

 

この問題を⼼の病の治療法という観点からではなく、多くの⼈に共通する悩みとして書いてみたいと思います。

 

なぜなら⼦育て中の⺟親、介護をしている⼈、⾼齢者、ハードワーカーなど、時間的にも精神的にも余裕がなくなると、こうした状況は誰にでも起こりうると思うからですし、私⾃⾝もその⼀⼈だからです。

 

そんな時、ある新聞記事が⽬にとまりました。

アメリカのデパートで接客をしている⼥性が、⽩いシャツに⿊いパンツを⾃らの定番と決めてそれで通しているというものでした。

本来ならその⽅は洋服を⽇替わりで着がえる⽴場にあったのです。が、「男性のスーツのような装いでも何ら問題ない」というその女性の⾏動は、⼈々に好感を持って受け⽌められることとなりました。

そして「⼥性だからといって洋服を変えなくていいのではないか」という議論が巻き起こったらしいのです。

 

私はそれにヒントを得て、というか、勇気を得て、⾃分の⾐類を⼤幅に減らすことにしました。

そして仕事や会議などで失礼にならない程度にシャツやセーターとパンツ姿で通すことに決めたのです。つまりスーツは持たないのです。

以来、私の定番化はさらに進み、数枚のシャツやセーターに2〜3本のパンツを着回すのみとなりました。

⾐類の整理や⾐替え、洗濯やアイロンがけにとられる時間はほぼ皆無となり、本当に快適です。

 

私は⾃分に能⼒的・時間的にモノの管理能⼒がないことをよくわかっています。

それは、うつ病になった⽅が本来の能⼒を失った状態ととても似ていると自分では思います。

また私には他の⼈の視線を気にする以上に「するべきこと」「したいこと」があるのです。その時間がほしい!

 

つまりモノの管理にとられる時間があったら、仕事や健康管理をしたい。

ここがポイント!

何かしたいこと、するべきことのためには、捨てること、諦めることが必要なのではないでしょうか。

また、能力がなかったら諦めたり減らしたりすればいいのではないでしょうか。

「○○できない」と悩む⼈の多くはそうした現実をしっかり⾒ていないように思います。できなかったら、それを認めてしまえばいいのです。

⾃分の能⼒を過信し、若い時と⽐べ、他の優秀な⼈と⽐べ、病前と⽐べているのではないですか。

「⾐類の整理ができず⼭のように積まれている」と悩む⼈への助⾔は、「枚数を減らしなさい。⾃分で管理できる枚数にね」です。

能⼒や時間のある⼈が、どんなに⾐類を持っていようと構わないと思います。

だけど、今の⾃分に余裕がないのなら、仕事やモノや料理のメニューを能⼒に合わせて減らそうではないですか。

まず⾃分の現実を⾒つめ、本当に必要なもの、本当にやるべきことのためには、⾒栄や体裁を捨てて持ちたいもの、やりたいことの数を減らそうではありませんか。

そうすることはきっと⼼地よい⾐⾷住の、そして幸せな⼈⽣への第⼀歩ではないかと私は思うのです。