連載コラム(21)年代によって違う課題

⼈には、絶対受け⼊れなければいけない現実があります。そのひとつが年齢です。

50歳の男性患者さんはとても魅⼒的な⽅です。雑談の中で思わず聞いてみました。

「結婚の予定はあるの︖」

「ありますよ。でも⺟が85歳でしょ。1⼈暮らしになったらって思っています」。

私「だめだめ。どうしてそんな⼤事なことを先延ばしにするの。50歳はまだ頭も柔軟で相⼿に合わせる⼒もある。だけど、年をとるにつれ頭が固くなり、他⼈に合わせて暮らすのはもうごめんとなるのよ」

年は争えない、というのはある意味当たっています。「いくつになってもできる」という宣伝⽂句に騙されてはいけません。

⼈を個別に⾒れば全員違うので、決してひとくくりにできないとは思います。

けれどです、同じ年齢の⼈を集団で⾒ると、その年齢の特徴が如実にあらわになるんです。ほんとにごまかでない、と思うほどです。

その例ですが、教師をしている友⼈が⾔います。

⼩学校4年⽣と5年⽣では歴然とした違いがあると。

4年⽣はまだまだ可愛くて受け持つのが楽しいと感じるのだそうです。

ところが5年⽣の担任になった途端、学級運営が難しくなるというのです。

1⼈1⼈の⼦どもを⾒れば⾃我の芽⽣えなど感じない無邪気さなのに、それを集団として⾒ると違うらしいのですよ。

年齢による他の課題の例を挙げてみましょう。

18歳も節⽬です。

親から離れ、広い社会に関⼼を持ち出す時期です。

そして今振り返ってみれば、私にも20歳代、30歳代の頃がありました(笑)。

「若い時の苦労は買ってでもせよ」と⾔われ、苦労を苦労とも思わず学び、働いたし、それが今、実っているとも⾔えます。

45歳くらいから55歳くらいの更年期の⼥性たちは不調に陥りやすいですよね。

原因は必ずしもホルモンのせいではありません。

⾃分の時間もできて、それまで棚上げされていた夫婦の問題や⽣き⽅の問題が出てくる時期なのです。

やがて仕事を辞める時期がきて、さらに⽼年にもなれば、⾃⾝の⾝ひとつを持て余すようになるでしょう。

詩⼈の⻑⽥弘は「⼈⽣の最後に必要なのはただ歩くこと」と書いていて、その単純明快さに思わずうなってしまいました。

⼈⽣においては、年代ごとの課題が横たわっています。

そのタイミングを逃さず、⾃分なりに意識することが必要です。

そのためにはどうすればいいでしょうか。

ここがポイント!

⾃分より年上の⽅の⼈⽣を観察することは誰にでもできる⼤きな⼀⼿だと思われます。

課題をクリアして素敵に年とった⽅をお⼿本にし、逆にどんなにだめに⾒える⼈からも、反⾯教師として教えられる。

⼈は⼈から最も多くを学ぶのでしょう。

⾝近にいる⼈はつい⽋点ばかり⽬につくもの。

だけどあなたの隣にいるあの⽅この⽅こそ、⾃分の年齢における課題を⾒つける学びの宝庫かもしれませんよ。