うつ病 病院に行くポイントとは

 

「うつ」になった時の、病院に行ったほうがいいよ、っていうポイントって知りたくありませんか。その時の病院の選び方についてもお伝えします。

一口で「うつ」と言っても「うつ状態」と「うつ病」は違います。病気が違うのではなくて、レベルの違う表現なんです。つまり「うつ状態」とは状態像です。「うつ病」とは疾患名です。疾患名ではありますが、症候群つまりいくつの症状が揃ったら、その病名だよ、という感じです。

身体の病気の場合、症状が揃わなくても癌は癌ですよね。でも精神科では統合失調症は「疾患名」かもしれませんが「うつ病」は症候群です。揃わないとつけない病名です。どうですか? むづかしいでしょう? 

精神科医には、ホント、大学を卒業した翌日からなれる職業ですが、診断や治療は超むづかしいんですよ。

さて、話が飛びました。落ち込んだり、憂鬱になったり、何もしたくなくなったり、という症状は「抑うつ状態」って誰でもなることはありますね。でも原因もわかったりして、まさかその段階で病院には行きませんよね。そこに「睡眠障害」「食欲の低下」が加わったら、ぜったい病院に行ったほうがいいです。なぜなら、「憂うつ」とか「何もやる気がしない」って自己申告です。その人がそう思えば、それが症状になります。ですが「まったくねむれない」「まったく寝つけない」「体重が一ケ月で〇キロも落ちた」っていうのは、意思でどうにもならない身体症状です。そこがポイントなんです。

それに加えて他覚症状(まわりから見えること)として「最近、元気がない」「声が小さいし、会話がグンと減った」「顔の表情の動く、メチャ乏しいよね」「なんかぼーっとしている時もある」という風に、自分では気づかなくても、まわりで気づく症状もあります。

なので、自覚的には、憂鬱気分ややる気のなさに加えて、睡眠がとれないが一ケ月以上続く、食欲がなく一ケ月で〇キロ減った」が目安。家族や会社の人などまわりが気づく症状としては「会話が減り、表情が動かなくなり、見るからに元気、生気がない」という風に見えます。そこが病院に行くポイントです。

うつ病は精神科医でも診断や治療がうんとむづかしい病気のひとつです。「うつ」と言われる人は山のように来ておられますが、気質、性格、環境、病院の原因、治療の仕方などなと多岐にわたるので、できたら熟練した精神科医に診ていただくほうがいいです。

しかし、睡眠障害や食欲低下などの身体症状はないけど、憂鬱気分ややる気のなさが長く続くんだよね、という場合には、薬物療法ではない治療の方が有効である場合が多いです。そんな場合には臨床心理士がいる病院が断然いいです。心理検査をしていただくだけで、全貌がわかりますし、後々カウンセリングしていただくこともできます。

医師しかいない病院ですと、薬の治療にはとても限界がありますし、いずれ5分診療になります。5分診療って、まあどの科も宿命ですが、精神科や皮膚科や整形外科など、検査をあまりしなくてもいい科の宿命なんです。精神科でスト再診料○○円、それから精神療法3600円だったか4000円だったか忘れましたが、時間をかけていたら経営が出来ないからなんです。精神科は手間暇のかかる診療科ですが、いただけるお金はかぎられていますので、どうしても5分診療になってしまいます。

臨床心理士の分も同じで、この部分はサービスというくらい、お金にはなりません。でもサービスを受けられるほうがいいですよね。ぜひ臨床心理士のいる病院をお勧めします。

最近、認定心理士という資格ができました。これは臨床心理士があまりにもハードルが高く、増えないので、埋めるために新しく作られた認定制度です。臨床心理士に比べられないくらいハードルは低いです。ですので、しっかり臨床心理士がいる病院は良い病院です。

でもなかなか受ける順番がまわってこないし、とにかく話を聞いてもらえるだけでいい、という場合も多々あります。そんな場合には認定心理士の方が活躍できると思いますので、否定しているわけではありませんから、ご了解お願いします。