雨の音

街で何十年もアパートやマンションで暮らしていたときには、雨の音は気にならなかった。

田舎の一軒家に移った8年前。

屋根に落ちる雨の音って、なんてわびしいのだと感じ、雨の日はいつもうっとうしい気分になるのだった。

夫にもよく当たっていた。「街の雨はどこか華やぐのに、田舎の雨はうっとうしい!」とかなんとか。

ところが今日、休日だったので一日ゆっくりしようと思い、昼間ベッドに横たわったいると、雨の音がはげしい。

屋根や木々の葉に落ちる雨の音を聞いていたら、あまりに心地良くて、まるで お母さんのおなかにいるみたいに

落ち着いた。

何年ぶりだろう、こんなに雨の音が心地良いなんて!

ちょっぴり風邪気味だったこの数日。

きっと、からだと心が「ゆっくり休めよ」とささやいていたからだろう。

患者さんがよく「天気の良い日は気分が良いが、雨の日は気分がすぐれません」という。

わたしは「それは健康な証拠。うつのときは、雨の日のほうが落ち着くのよ」と話す。

これは、わたしの持論だ。

今日は、わたしの持論もあながち間違っていないな、と感じた。

一日パジャマを着たまま、何ひとつしない、ぐうたらな一日だったけど、うれしい一日だった。

明日はまた仕事だ。がんばれるだろう。