その人の能力

大きな病院で、医師になって1~4年の研修医に精神医療を教えている。

どの研修医も生き生きしている。

今日もわたしの診察についた後、廊下でであったら、ちかづいてきて

先生の診察、すごいですね。共感ばかりかと思っていたら けっこうズバズバ言うし、それに対して

患者さんも反応するし、すごいって思いました。先生の背中から後光がさしてるって思いました。

なんて言う。後光 にはマイってしまって 早々にその場を退散した。

どの研修医も 初めてのわたしの診察を見たあと、それなりに感動するらしく 表現豊かに感想を話す。

 ところが ずっと私の診察についている 50歳台のナースに 診察の感想を聞いてみたところ

「う~ン」なんて言っている。

なんのことはない。

わたしの診察がすばらしいのではなく、それを見て感動する心を持っている人たちに感じる能力があるのだ。

だから わたしは 「あなたは優しいね」と言ってくれる人には

「あなたが優しいから わたしの優しい部分が見えるのよ」という。

「素敵ね」といってくれる人には「あなたが素敵だから 私のそういう部分が見えるのよ」と話す。

ところで 私のことを「すごい人だね」と言ってくれる友人は誰もいない。

それもそのはず。 すごい人でなかったら わたしのすごさは見えないわけだ。

だから すごい!と言ってもらおうと思ったら すごい人をさがすしかない。

マ、 しょせんは似たもの同士でしか 友人や夫婦や恋人にはなれないのだから、

「すごい」とまでは言われなくても、相手の美点をほめ 自分の美点も見つけてくれる関係を

自分のまわりにたくさん築いていく者勝ちというわけか。