中学二年生・講演・その6

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さて、長くなりました。
読んでくださっている方々にお礼申しあげます。
思春期特有のむずかしさへの対応も大事です。
主催者はそれを求めているのでしょう。
しかしそこに至るまでの過程は以外に親や子に知らされていません。
だからこそ大事だと思い、書いています。

さて、ご両親と一緒に住む家の隣にもう一軒「あなた」というおうちが
建った状態、というのが、あなた方の置かれている状況だと話しました。

ご両親のおうちとあなたが住むおうちは、棟続きで渡り廊下があります。
あなたは自分の家で暮らしてもいいし、
ときどき甘えるためにご両親のおうちに帰ってもいいし。
どちらでもいいという状況です。

これから長い一生を自分の力で生きていかなければいけない。

しかし今は親に甘えることもできる。
嫌だったら自分の家に行くこともできる。

ご両親によっては土足でずかずかとあなたのおうちに入ってくる
人もいるでしょう。
だけど心あるご両親なら「入っていい?」
ノックのひとつもするでしょうね。

ところであなたの家ができあがったのは、今に始まったことではありません。
家らしい形になったのは、

実は小学校の3年生か4年生のころです。

そのころ、自分の親は本当の親ではないんではないか。
本当の親はどこか別のところにいるんではないか、という
そんな思いを持ったことはありませんか。
た自分の親がもしいなくなったらどうしよう、と不安になったことは
ありませんか。

また、家出をしたらどうなるかな。
親は心配するだろうか、など想像してみたことはないですか。

いままでは、親との関係にどっぷりつかっていたあなた方が、
親から離れて客観的に自分を見てみたい。

親から独立した自分は、いったい何者なのか、

という問いかけをする時期があったはずです。

自我の目覚めと呼びます。

もちろん自らに問うわけではない、意識するわけでもないのですが、
しかし、そんな心理状態になっていることは、
大人ならだいたい誰でもわかるんですよ。

あなたが10年20年たって、子供を持ったとき、きっと今日の話を
思い出す、という形で初めて意識にのぼるかもしれません。

そして、世界で一番だったお父さんやお母さんの位置づけが、
このあたりを境にして下がる一方になります。
そして親との間で求めても得られなかったものを親以外のところで
求めようとします。
しかし外での体験に疲れ果てて帰るところは、
やはりご両親の家しかありません。

ですから親に反抗的になって心を開かなくなったかと思うと、
外での疲れを癒すかのように、
以前より妙に甘えたりべたべたしてきます。

そのあたりの心理的状況を親御さんのほうでもわかってあげないと、
今まで可愛い可愛いで育ててきた子供が、
黙ってしまったり、反抗的になったりする。

子供に、裏ぎられたような気持ちになって、ついつれない態度で接して
しまうことがあります。

素っ気なくされた子供が、一時的に憂うつな状態になることは、

しばしば見られます。

「自我の目覚め」ともいうべき、この時期には親も子供も
つらい時期かもしれません。

腹立たしく扱ってしまったり、逆に「反抗期よ」と事もなげに
言い放ってしまう親御さんもいます。
どちらも子供の気持ちをちょっぴり憂うつにさせてしまうかもしれませんね。

子供とすれば、そういう心理状態にある子供を理解して
「ああ、成長したんだなあ」と丁寧に扱ってほしいところです。

さて、親の家に住みながら、ときどき自分の家が新しく建っていくのを
見ているような不安定な時期を経て。
今、はっきりと、親から精神的に独立した「自分」を持ち始めたあなた方が
存在するわけです。

どうですか。

長々と話してきましたが、あなたが今ここに至るまで、

あなた自身がどんなにたくさんの心の旅路をしてきたか。

少しはわかってくれましたか。

そしてここに至るまでの長い間、お父さんやお母さんが
どれだけあなた方の心を育てるために、時には心から楽しみながら、
時には自らを犠牲にしながら、
時には不安や戸惑いや腹だたしさを感じながら、育ててくれたか、
少しはわかってくれましたか。