何事も、治りの悪いときやうまくいかない時には、初心に返ることが一番だ。
心の病気を治すときにも、基本をおろそかにして、早く早くとあせるから治りが悪い。
治りが悪く長引くほど、こじれているから、ますます始末が悪くなる。
口を酸っぱくして言っても、わかってくれる人は少ない。
しかし、自分のこととなると話は別。
自分がこれほど自分をわかっていないとは思っていなかった。
熟年になってから始めたとは言っても、器用だし飲み込みも早い。
それに、3年もしないでショパンの夜想曲原曲を弾けた人なんて、まあいないだろう。
自分を評価していたが、実力がなく形だけだった。おとなだからってプライドばかりが高いのだ。
いや、ピアノの話である。
早く上手にとあせってばかりで、実際は中断につぐ中断、今ではドレミくらいしか弾けない。
とうとう観念した。
バイエルなんて、と 馬鹿にしていたが、そのバイエルの初歩の初歩から始めることにした。
5、6才の子供がやるところである。
それでもいい、いや、もう それしかないと観念した。
8年もたって、ようやく納得したなんて、馬鹿みたいに回り道した。
病気が長く治らない人も、こんな感じになっているんだろうなと思う。
♪♪どれみふぁそらしど♪♪・・・・・・と弾いていると、易しいので気分が良い。
いらいらすることもない。
やはり「自分を知る」「初心にかえる」大事なことだ。
仕事では「わたしは出来ません」と言えない場所にいる。偉そうにしている。
だからこそ、こどものように、若い先生に注意されたりしかられたりしながら、ちいさな子供と肩を並べて
「生徒」になって「学ぶ」時間が貴重だと思う。
何より楽しみながら。