メンタルを強くするってどういうこと?
「メンタルが弱いんです」という言葉を聞く機会が多くなった。
ごく普通にそういう言葉を使う時代になった。
メンタルが弱いということは、自己申告なので、本当かどうかはわかりません。
自分で思いこんでいる場合がまずひとつあります。
もうひとつは周りが思いこんでいる場合。つまりそれはまわりが強くて、頼らせて弱くしている結果なのに、相手を「弱い」と思いこんでいる。
いずれにしても、「メンタルが弱い」というのは、精神科的には、ない言葉です。
ただし。内因性(生まれつきの)精神的疾患の方の場合だけは、
精神的に弱いと言います。
あまり、その自覚がないかもしれません。それが当たり前だから。しかしあきらかにストレスに弱いと思います。100人に
ひとりくらいの病気です。
メンタルは強くしなくていい。
メンタルが弱いという思いこみ、自分とまわりからの思いこみをなくしましょうという話をします。
精神科医としては、心が強い、弱いを見分けていくことが必ず必要になります。その場合の「強い」「弱い」は自己申告のではなく。心の深い病気をかかえているかどうか、という点です。
精神科医としては、もっとも大切な診断ということになります。
例をあげましょう。
たとえば、ふと死にたくなるくらい辛い、って気持ちをとりあげてみましょう。
精神病の領域に入っていない場合には、自分を見つめる力があるので「あれ?自分は死にたいほどつらくなってる。ヤバイヤバイ」と気づけるということです。
精神病に領域に入っている方は、自分のやばさに気づいていないので、ふーっとそちらに流されやすくなります。
また50年、60年70年生きてきたということは、そういう気持ちを乗り越えたという実績ですから、もうすでに図太くなっているからそれだけ生きてこれたということなので、
簡単には死にません。
やはり心の病気の人、それから心が未熟な人、子供ですね。まだ出来上がっていませんから。
それから思春期。それから社会に出たばかりの若い人。そういう人はまだ自分というものが出来上がっていないので。
心は、まだまだ弱いと思います。
メンタルが弱い、というのとは違います、まだ出来上がっていないということです。
やっぱり子供や若い人は守る、それも大事にし過ぎないで守る。成長を後押しするような接し方で、自我つくりを応援する、とても大事と思います。