依存症の治し方 その2 共依存

 

アルコール依存症の方にしばしばみられるパターンとして、夫婦の共依存があります。夫が起こした酒による問題を、愛情または深情けから、夫のためと思って妻自身が解決してしまうことです。

そこには、夫のアルコール依存症としての病気だけでなく、妻自身がしっかり自立していないために起きる問題があると思われます。自分と夫の区別がつかなくなっていたり、妻自身に自己肯定感が低いために、夫のためになることで自分が「妻としても人間としても認められる」と誤解し、それが愛情だと思ってしまっているということです。

それでどんな弊害が出るか考えてみましょう。

たとえば夫が酒がもとで多額の借金をしたとします。それが、妻がなんとか工面できないでもない額である場合、妻は必至で工面しようとします。夫をつきはなすことができないせいか、はたまたそれが愛情と勘違いしているのかはわかりません。また現実問題として同じ舟に乗りこんでいる夫の借金問題は妻にもふりかかってきます。なので必死で工面してしまうんですよね。

そうなるとどうなると思いますか? 

夫は自分のやったことを自分で責任もって処理する機会を失ってしまいます。

そんな繰り返しをかぎりなく夫婦はおこなってしまうと、だんだん、夫は責任をとることなくお酒におぼれていきます。

借金ができた最初の段階で、夫の作った借金は自分で解決させる。解決ができなかったら家屋敷をとられてしまっても仕方ないんです。そんな覚悟が、アルコール依存症になっている夫を持っている場合には必要なんです。

なので、妻もまた教育を受けていく必要があります。

夫の問題を妻がとりあげることは、夫の自尊心も育ちませんし、お金で夫をコントロールしている行為ですよね。

アルコール依存だけでなく、境界例精神病という病気の方のご家族にも同様の対応が求められます。

またそういう病気ではなくても、ごく普通の子育てのおいても、子供の課題を母親がとってしまうことが続くと共依存になってしまい、子供の心が育ちません。

世の中には山のように、そんな例があって、おとなになりきれない子供(将来はおとな)がどんどん出来上がっていっている気がします。

近年のいろんな社会問題や事件がそういう親子関係からどれだけ発生しているだろうと考えさせられることがあります。