高速道路の助手席に乗って、職場から帰った。
南アルプス連邦、八ケ岳連峰が雪をかぶって、神々しいくらいである。
「わーっ!きれい!」を連発した。
「あなたのおかげだよね。もしこちらに来てなかったら、こんなに美しい景色を見ることは
なかった。滋賀でも金沢でも大阪でも、考えもできない景色。本当にきれい!」を連発した。
夫は冷静だった。
「雪が半分以上解けている。ちっとも美しくなんかない。雪が降ったばかりの山こそきれいだ。
若い子とおばさんくらいの違いがあるよ。もっとういういしい雪山じゃないとね」
夫と私の反応が違いすぎて、戸惑っているうち、レモンとイチゴの違いを思いだした。
雪を好むので レモンやイチゴを外に出す。
レモンは黙って駆けだしていく。
イチゴはどうかというと、これがおもしろいのだ。
「わーっ!」と叫びながら外に駆けだすのだ。
かならず「わーっ!」っと叫んで駆けだしていくので、笑ってしまう。
わーっと叫びながら飛びだしていく様は本当に微笑ましい。
男性と女性も違うが、猫でも女の子は「わーっ!」という。猫でさえ感嘆詞が多いのだ。
家の近くまで走ってきた。
「ねえ、男の人は感嘆詞を使わない人が多いわねえ」といったとたん。
夫が「おお!きれいだ。これこそ きれいだと言うんだよ」
朝もまだ早いので樹氷が朝日にきらきら光っている。
樹についた雪が、繊細そのものだ。
夫が「これこそ写真だよ」といった。
車を何回も止めてもらって撮ったが、腕がなくて、美しさの半分も撮れていなかった。
残念である。
☆ ☆ ☆
職場の昼休みは「女の子の集団」だからにぎやかだ。
私も写真を見せたり、エッセイ集の原稿をなおしていたりしたら、
職場のナースたちが。
先生って、いつも本当に楽しそうですね、という。
やれ、ポストカードだ、やれエッセイ集だといって、かれこれ
一年近く、楽しんでいる。お金もかかっているらしいけど、それだけ
楽しめたら、もう元とっているわねえと皆が口をそろえて言う。
たしかにそうだ。
いつも「わーっ!」とか連発しながら、大きな声でしゃべり大きな声で笑っている。
いつまでも「女の子として生きる」という生き方も。
女性には「あり」だと思う。