自分らしく生きる 34 いつまでも「女の子」として生きる

高速道路の助手席に乗って、職場から帰った。

南アルプス連邦、八ケ岳連峰が雪をかぶって、神々しいくらいである。

「わーっ!きれい!」を連発した。

「あなたのおかげだよね。もしこちらに来てなかったら、こんなに美しい景色を見ることは

なかった。滋賀でも金沢でも大阪でも、考えもできない景色。本当にきれい!」を連発した。

夫は冷静だった。

「雪が半分以上解けている。ちっとも美しくなんかない。雪が降ったばかりの山こそきれいだ。

若い子とおばさんくらいの違いがあるよ。もっとういういしい雪山じゃないとね」

夫と私の反応が違いすぎて、戸惑っているうち、レモンとイチゴの違いを思いだした。

雪を好むので レモンやイチゴを外に出す。

レモンは黙って駆けだしていく。

イチゴはどうかというと、これがおもしろいのだ。

「わーっ!」と叫びながら外に駆けだすのだ。

かならず「わーっ!」っと叫んで駆けだしていくので、笑ってしまう。

わーっと叫びながら飛びだしていく様は本当に微笑ましい。

男性と女性も違うが、猫でも女の子は「わーっ!」という。猫でさえ感嘆詞が多いのだ。

家の近くまで走ってきた。

「ねえ、男の人は感嘆詞を使わない人が多いわねえ」といったとたん。

夫が「おお!きれいだ。これこそ きれいだと言うんだよ」

朝もまだ早いので樹氷が朝日にきらきら光っている。

樹についた雪が、繊細そのものだ。

夫が「これこそ写真だよ」といった。

車を何回も止めてもらって撮ったが、腕がなくて、美しさの半分も撮れていなかった。

残念である。

          ☆      ☆      ☆

職場の昼休みは「女の子の集団」だからにぎやかだ。

私も写真を見せたり、エッセイ集の原稿をなおしていたりしたら、

職場のナースたちが。

先生って、いつも本当に楽しそうですね、という。

やれ、ポストカードだ、やれエッセイ集だといって、かれこれ

一年近く、楽しんでいる。お金もかかっているらしいけど、それだけ

楽しめたら、もう元とっているわねえと皆が口をそろえて言う。

たしかにそうだ。

いつも「わーっ!」とか連発しながら、大きな声でしゃべり大きな声で笑っている。

いつまでも「女の子として生きる」という生き方も。

女性には「あり」だと思う。