読んでいる雑誌に、プロに近い女性たちの、布や糸による
すばらしい作品が紹介されていた。
これは89歳の婦人。置き場所に困るから周囲からもう作らないように言われるらしい。
でもすばらしい。
若いころからやっている方もいるが、60才を過ぎてから、という人も少なくない。
絵画や絵本なども老齢になってから始めて、プロ級という人も少なからずいる。
女性は手仕事が好きだ。男性には誰もマネできないだろう。
私も色のついたものに強い関心がある。
でも手仕事は苦手でだめだった。何も続かなかった。
☆ ☆ ☆
編み物や絵画や陶芸をやったことがある。
やってみて気づいたのだが、ガラクタがたくさんできて、仕舞場所にだんだん困った。
編み物なんか誰にあげても喜ばれるだろうと思ったが、3年もやっていたら
タンスに入りきらなくなって、困った。そのうち飽きてきた。
絵画や陶芸も、けっこう場所をとって困った覚えがある。
囲碁をやったとき、携帯の薄い碁盤一枚と本一冊で何年も楽しめる。
それで、まず気にいった。
10年で3段までいったが、形に残るものは何もなかった。とてもいい。
☆ ☆ ☆
今やっているピアノも、ガラクタができないのが気にいっている。
場所をとるものは気が重い。
たったこの一枚の楽譜で一年はもつ。
☆ ☆ ☆
でも、不思議だ。
手仕事のように、熟年からピアノ始めて、20年やってものにした。
などという話は、聞いたことがない。
だいたいにおいて、熟年でピアノを始める人は多いらしいが
続いている人はほとんど見かけない。
それにいても私も含めてみな下手だ。
絵画と音楽のこの違いは何だろう。
夫と知りあったとき、夫はピアノを始めて10年目だった。
かなり目を引くくらい上手だった。
今では25年にもなり、かなりうまいが、絵画のように注目は集めれない。
先生に叱られて、ひそかに男泣きするくらいがオチである。
絵画と音楽の、この違いは何だろう。
私もピアノにさわってかれこれ10年になる。
ブランクは6年はあるが、そんなのは言い訳にならない。
この下手さ加減はなんだろう。
ピアノは、熟年の人が始めるには、あまりにご褒美の少ない趣味だ。
でも、たった一枚で一年は楽しめるところが、やっぱり好きだ。
そうそう。写真の趣味もいい。
パソコンに中におさまっていて、場所をとらない。
年をとるほどに、もう場所のとらない、物の増えない趣味しか手を出す気になれない。
料理も消えてしまう、いい趣味だと思う。
私は今、豪邸に住んでいるので、物の置き場には困らない。
だけど、やっぱりピアノは上手になるとかじゃなくても。
なんとなく、趣味としてはきわめてつつましくていいと自分では気にいっている。
なぜ努力のわりに、うまくならないのかだけが、不可解である。