昨年亡くなった精神科医の浜田 晋医師が、67才の時に出した本が、
17年もたった昨年、浜田氏84才の夏に、岩波新書で復刻出版された。
精神科医の大先輩。
「精神科医」と冠しなくても、浜田 晋 という名前だけで本が
売れる数少ない名医である。
17年もたっているのに、ちっとも古くない。本っていいなと思う。
「本を書くと本業が手抜きなるし、からだもこわす」と書いてあって笑ってしまった。
書いた本の数はぜんぜん多くない。
診療を真面目にやっていたら本は書けない。
東京の上野で1949年に開業された。
その後、バブルにあって、下町のあちこちで地上げ屋が家を買い取り、
ブルトーザーでどんどん家の壊されている様子。住んでいた人が泣く泣く
生まれた土地を追われていく様子が、今回の津波の情景と重なった。
精神科医などというのは、地下で人知れず、地味に仕事をするものである、
と書いてあって、とても納得している。
「気軽に精神科に行きましょう」という啓蒙は間違っていると思う。
たいていの問題は自分で、友人とで、家族とで解決しなければいけない。
精神科医にたよろうとする今の風潮は間違っている。
それに、精神科医など、知っているかぎりあまりろくな人はいない。
中井久夫氏ほか数名は、特別な人である。あとは私も含め、雑魚だ。
私はひそかに人知れず仕事を続けようと思う。
本を出すことになったのは、うれしくもあり、不本意でもある。
ブログも最近、筆が鈍る。
住まい周辺の景色がただただ美しくてブログを始めたのが、
最近また精神科医っぽくなっている。
下は病院の屋上ガーデンに夕日があたるところである。
渋くて美しい光景だった。
昨日あんなに休んだのに、今日は不調だ。
やっぱり人間というのは、鮎のように体を動かし続けないとだめのようだ。