
中学生はもっとむづかしいことを考えているのかもしれません。
だけど、一番伝えたかったことを、ひとことで書きました。
今日のブログは、中学二年生をとっくに過ぎた方も、ぜひ読んでほしいです。
だれにでもわかるように、できるだけ平易に書きました。
「人生、こんなもの」「これでよかった」そんなの言い訳に過ぎませんよ。
そう言わないと救われないからでしょ。
「自分は一体何者?」という青春の問いかけを死ぬまで忘れない人であってください。



さて、「自我の目覚め」と言いますが、「自我」とはいったい何でしょう。
「自分というものを、別の角度から客観的に見つめる力」
とでもいえばいいでしょうか。
お母さんと一体であり、お母さんの喜ぶ「いい子」であることが、
子供自身の喜びであった存在から、
母親とはまったく別の人格になっていくということです。
突然、別の人格に変貌するわけではありませんので、
まったくの別人になる20才を過ぎるころまでの10年は、
親も子も揺れ動き続けるというのが、実態です。
そしてその10年の中で、一番揺れ動きの激しい時期が、中学生であると言えるでしょう。
「自我」ってそんなに大切でしょうか。
大切です。心の核になるものです。
それを使って世の中を渡っていく、もっとも大きな力となるもの。
対人関係の中で、押したり引いたりしながら。
時には自分を主張し、時には我慢して引く。
そのあわわの際を決めるのが「自我」です。
これが強くなかったら、家に引きこもっているしかありません。
「強い人」とは「押したり引いたりを自由自在にできる人のこと」です。
今日は中学生の方だけでなく、ご父兄もたくさん見えていますので、
両方の立場からの話をこれからしたいと思います。
「自我」を育てるために一番わかりやすい話をします。
子供の「ノー!」を大切にするということです。
一番わかりやすく、一番効果のある、自我の育て方です。
人間というものは、どんな立場にあっても、イエスマンでいるのが
もっとも楽なんです。
中学生の時期というのは、もっとも素直に「ノー」と言える時期なんですよ。
そのときの親の反応です。
「またわがままを言って」(せっかく自己を主張してるのに)
「そんなことしていたら、将来どうなるか知らんよ」(脅しですね)
「反抗期だから仕方ないわ」(他ならぬ、あなたに反抗してるっていうの!)
親というものは、それまでにたくさんの経験や失敗をしていますから、
子供の言うこと、なすこと、心配で見てられない。
これが本当ですね。
そこでぐっと我慢できるかどうか。
でも、どうでしょう。もし親の言う通りに従ったとして、
親のいないところで同じ事態に遭遇したとき、どうなりますか。
親の目の前にいる間に失敗を経験させて、
それを糧にしたほうがいいと思いませんか。

親の立場から書いた本があります。
私が数年前に出した
「わが子の気持ちがわからなくなる前に読む本」
と言います。よかったら手にとってみてくださいね。
今日の主役は子供さんですので、子供さんのほうに役立つ話をやっぱり、
したいと思います。
わたしがひとつとても心配していることがあります。
最近の子供たちは、親御さんに大事に育てられていることが多いせいか、
親離れしていくことに罪悪感を抱いている子供が少なからずいます。
小学校3年にもなれば「自分はいったい何者なのか」という
問いかけを自然にするようになると言いましたが、
20才をすぎても、その「自分」を見つけ出せないまま、
「親に悪い」「こんな自分で親に申し訳ない」という子がいます。
そんな心配の必要はまったくありません。
親というものは身勝手なものですから、あなたが親の「いい子」でいるかぎり、
あなたを自分の言う通りになるものと誤解し続けるでしょう。
あなたから離れていかなったら一生離れられません。
親からは手放せない、というのは人間だけらしいですね。
猫を育てている人を知っています。
猫のお母さんは2ケ月くらいは産んだ子猫をなめるようにかわいがるそうです。
しかし2ケ月から3ケ月くらいになると、どうすると思いますか。
近づいてくるわが子にパンチをくらわすそうです。
「甘えてるな。生きていけ。もう生きていける」
そう思っているんでしょうね。

では、お母さんから離れてひとりぽっちになった自分を
助けてくれるものはないのでしょうか。
それはあります。
それが「自分の中にいる、もうひとりの自分」です。
それを「自我」と呼びます。
こんな経験はありませんか。
試験の成績がふるわず、親や教師に顔向けできない。
ああ、どうしよう。
でも一晩も寝たら「どうにか、なるさ。明日は明日の風が吹く。
○○、がんばれ」というもうひとりの自分が出てきた経験。
友達をうまくいかず悩んでしまった自分。
でも「気にしない、気にしない。失ってもどうってことのない友達
だったかもしれないじゃん」
そうやってはげましてくれる、もうひとりの自分。
大人になるということは、そういうことです。
自分の中に、自分をはげましたり、ほめたり、なぐさめたりしてくれる、
もうひとりの自分を持つ、という体験です。
じゃあ、それさえあれば大丈夫でしょうか。
それができなかったらどうしたらいい?
それはね。みんなが支えあって、誰かの「自我」になりあいっこ
できるってことなんです。
尊敬する人をつくる。
心を許せる友達をつくる。
本を読んで知らない世界の人と対話する。
そうやっていくことで「自我」が強化され、
ひとりぽっちではあるけれど、ひとりぽっちで生きていくのとは違う
心強い味方を作ることができます。
そしてその関係は、一生を通じて続いていくもの。
こうこれでいい、という到達点はありません。

若い間に、たくさんの失敗を経験してください。
若い間の経験は、買ってでもせよ、という諺がありますが
これはつくづく真実です。
死ぬ最後の最後まで、失敗をリベンジするチャンスは、
人間に与えられています。
「これで終わり」「こんな失敗、許せない」ということは、
ただの一度もありません。
あ、間違いました。ひとつだけあります。
死んでしまうことです。命だけは大切にしてください。
どんな形であっても、たとえ寝たきりのような病気になってさえ
、生きているかぎり、いろんな経験をしてください。
経験が成功する確率というのは、どんな人も平等。
確率は半々です。
なぜ半々でしょうか。
それはね。失敗してみないと成功しないからです。
一回失敗するとつぎか、つぎのつぎに成功します。
成功が続くとかならず失敗するようにできています。
ですから、失敗と成功の確率は、どんな人も半々なんです。
大きな成功をおさめた人をうらやましいと思いますか。
それはたくさんの失敗をしてきた人です。
失敗は人に見えませんからね。
失敗が大きいほど成功も大きいのですよ。
ですから、あなたの価値観が「すてきな結婚をしたい」という
ことであれば、先に失敗の経験をたくさんしてください。
ふったりふられたり、悲しんだり、後悔したりしてください。
その先にしあわせな結婚生活が待っているでしょう。
仕事で成功したいと思ったら。
一生の仕事を若い間に決めようと思わないでください。
アルバイトでもいいから、いろんな経験をしてください。
苦い経験もした上で、自分には、これが合うな、合いそうだな、
という当たりをつけてください。
お金がためたいと思ったら。そうですね。
若いうちに貧乏な経験をしてください。
貧乏のドン底でお金の大切さを知ってください。
お金持ちで仕事で成功して、すてきな結婚をしたいと思ったら。
冒険の旅に出てください。家から離れ、
自分を世間の荒波にほうりだしてください。
たくさんたくさんの経験と失敗をしてください。
すばらしい人生をいずれ手に入れるでしょう。
成功なんかしなくていい。失敗は嫌だと思ったら?
できるだけ家から離れず、親の言うなりになるか、
親をうまい具合に利用して生きていってください。
でもそれで「生きてきて良かった」と思える人生になりますか。
たくさんの本を読み、いろんな人の話に耳を傾けて、
どんな人生を歩んでみたいか、考えてくださいね。
そしてそれはこれから一生続くものだということも覚えておいてね。

あなた方が羽ばたいていったあと、
お父さんとお母さんは、ふたたび、思春期に戻ります。
わたしの人生はなんぞや。わたしの人生はこれでよかったか。
そして3回目。仕事を退職した後、まだまだ30年つづく人生の始まり
にあたって、人は3回目の思春期を迎えます。
そのころには大半の人が「
「これで良かったのだ。これで良かったのだ。子や孫に囲まれ、
そこそこに生きていく。これでよかったのだ」そう思うのです。
そう思うしか救われる道がないからです。
でも、ここにひとり、まだまだそう思っていない人がいます。
ここで講演している先生です。まだまだ青春まっただ中です。
いろんな人がいるでしょ。参考にしてね。
あなた方の5倍も長く生き、あなた方のような人を何万人も診察してきた。
それも成功した人じゃなく、その人たちが失敗したときに出会った人を
何万人も診てきた私が言うのです。
こころの片隅にとめておいてほしい。
今日の講演で覚えておいてほしいことがひとつだけあるとすれば。
人生はどんなことも気づいたときからやりなおせる。
失敗と成功の確率は半々。失敗をするから成功がある、
ということです。
